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身体を離し、お互いの顔を見合わせ、幸せそうにイルと幸隆は笑った。
そして、イルは幸隆に手を引かれながら幸隆の向かう先へと共に向かう。
何処に行くの? そう思いながらも、イルはそんな言葉を発する事はせず、幸隆が行きたい場所へと行く事を望んだ。
掴まれた手は熱く、ジワっと手汗が滲むのが分かる。でも、それは幸隆も一緒らしく、お互いの身体の温度が外の寒さを感じさせないほど、そこが特に熱さを浴びていた。
「ここ……」
連れて行かれたのは高級そうなホテルだった。外観はお城っぽくてお洒落で、内装もシャンデリアが煌びやかに光り、その中だけが異国の地に見えるほど他のホテルよりも群を抜いていた。
こんな場所にこんな所があったなんて。そうイルは思いながら、一人感動した。
でも、受け付けには人がいなくて、大きな画面とボタンだけがあった。
その前に二人で立つと、幸隆はその部屋の中で一番広い部屋のボタンを押し、イルの手を引いてエレベーターへと乗り込んだ。
「幸隆よく知ってたね。こんな街中にこんなお洒落なホテルがあるの、僕全然知らなかったよ」
イルはエレベーターの中に二人きりになって、ようやく口を開き、幸隆にそう言った。
すると、幸隆がキョトンっとした顔をイルに向け、クスッと笑った。
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