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「だろうな。俺もかなり探したし」
その言葉を聞き、イルは嬉しさに笑みが溢れた。
今日の為にホテルを探してくれていたと思うと嬉しかったのだ。
「そうなんだ。なら、パパもママもここにこんな素敵なホテルあるの知らないかも。知ってたら連れて来てくれると思うし」
と、思った事を話したのに、その言葉を聞いた幸隆は珍しく大爆笑。
「ハハハッ。それはどうかな。若い時は使ってたかもしれないけど」
「え? なんで若い時?」
どうして? とイルは小首を傾げ幸隆に聞いてみる。すると、幸隆の口からとんでもない言葉が飛び出した。
「そりゃ、ここラブホだから」
「えっ!? らっ、ラララブホ!?」
まさか、こんな綺麗でお洒落な場所がラブホテルなんて。イルは驚きのあまり声が裏返る。
そんなイルに、幸隆は少し恥ずかしそうにしながらこう言った。
「そう。お前が好きそうな所探してたんだよ……前から」
「前から!?」
前からとはいつからだろうか。気になる。
「ねぇ、それっていつから? つい最近? それとも、ずっと前から?」
イルは恥ずかしそうにしている幸隆に、目をキラキラと輝かせながらそう言って詰め寄った。
「ねぇ、いつから。いつから探して……」
「あー、もうこの話し終わり。ほら、着いたぞ」
「えっ? あっ、わあっ!」
タイミングが良いのか悪いのか、エレベーターが最上階に着き、扉が静かに開いた。
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