第10章 二人の熱量

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 幸隆がイルをどれほど求めているのか。  そして、イルもどれくらい幸隆を欲しているのか。  触れる少しの部分で、その互いを見つめる視線で、これから先の事を期待している。 「無理な時……嫌だって言えよ……」 「え……? そんなの言わないよっ……嫌なんて絶対に思わないもん」  怖くないと言えば嘘になる。でも、そんな物どうでも良いと思うくらい、幸隆と一つになりたい。  だから、不安そうにしている幸隆に、イルから先に行動を起こした。 「ンッ……イル?」 「ンッ……ちゅっ……っ……ゆきちか……」  イルは幸隆の首筋に顔を埋めると、太くて逞しいその首を強く吸い、耳朶にも口を寄せた。  ずっとここにキスをしてみたかった。  自分よりも顔一つ分以上あるそこに、ずっと。 「はやく……僕を抱いて……」  幸隆が欲しいと思っている気持ち全てぶつけて欲しい。例え明日、身体中が痛くなっても、それでも……。 「幸隆が欲しいよ……っ」  そう。幸隆が欲しい。
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