第10章 二人の熱量

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 こんなにも誰かと身体を密着させたのは初めてだ。 「指……んっ……」  裸と裸。纏うものは何も無い。 「もう少し我慢な……」  つまりは、イル達の間には布一枚も邪魔をする物は無いと言う事だ。 「ンッ……ハァ……」  イルは幸隆に身体の隅々まで洗って貰い、イルも幸隆の身体を全部洗った。  男同士のやり方は漫画で知っていると思っていたが、それは幻想に近い物だったらしく、イルは今、男同士の本当のやり方を幸隆に教えられたのだった。  どうして知ってるの? そう、イルは中を洗われていた時に幸隆に尋ねてみると、幸隆は一言『勉強した』とだけ言って来た。  その顔は必死になってイルのその一点しか見ていなかったので、実践するのは初めてなんだなっと幸隆の真剣な表情で感じ取った。 「んっ……あ……」  イルは壁に両手を付きながら、お尻の中を洗われる違和感に羞恥心と声を我慢し続けた。 「終わった。……歩けるか?」 「……たぶん」  歩けるはず。そう思ったけど、初めての体験にイルの下肢には力が入らなくなっていた。  それを見て、幸隆は自身の下半身にタオルを巻くと、白いバスローブをイルの肩に掛けて身体を抱いた。  そして、お姫様抱っこでベッドへと連れて行ってくれたのだった。
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