第10章 二人の熱量

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 優しくベッドに落とされると、幸隆が静かに覆い被さって来た。  その瞬間、イルの心臓は更に煩く鳴り始める。  その音は幸隆にも聞こえてしまうほど煩く、大きいと思う。 「緊張してるか……?」  そんなイルに、幸隆がそう聞いて来た。  その言葉に、イルは無言でコクッと小さく頷く。 「俺も……」 「え……?」  幸隆はそう言うと、ゆっくりとイルに向かって右手を伸ばし、イルの左手を優しく掴んだ。そして、自身の心臓にその手を這わせた。 「ど……どきどきしてる」 「だろ? こんなになったの初めてだ……」  そう言って、幸隆は切羽詰まったような表情をイルに見せた。どうやらもう我慢の限界のようで、幸隆のそれはタオル越しでも分かるほど膨張していた。 「幸隆も緊張とかするんだね……」  そんな姿、試合の時も見た事ないのに。  こんな自分なんか相手で緊張した表情をするなんて……なんだかそれって特別みたいだ。 「お前にだけな」 「僕だけ……? なんかそれ、特別っぽいね」 「ぽいじゃねーよ。特別なんだよ……」 「ンッ……アッ……」  幸隆はそう言うと、イルのバスローブを左右に開き、露わになった胸に歯を当てて来た。その瞬間、イルの身体にビリビリッと電流が走った。
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