第10章 二人の熱量

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「ふふっ。そんなの分かってるよ……だって、口でしたばかりだもん」  だって、幸隆のそれがどれだけ硬くて太くて獰猛か、イルはもうさっき口で体感しているから分かっている。  だから、労りなんていらない。 「っ……はぁー……俺お前には一生勝てない気がする……」 「?」  その言葉はどう言う意味だろうか。  僕に勝てない? そんなの、こっちの方なのに。 「僕はずっと……」 「ん?」 「幸隆に勝てた事なんか無いよ……」  出会った時からずっと、幸隆が放つ言葉で何度も救われた。今の自分があるのも幸隆のお陰だ。 ---別に、変じゃねーよ……可愛いじゃん。  あの言葉を言ってくれたからイルは好きな事を、好きな物を、ちゃんと好きだと言えるようになれた。  周りに何を思われても、一番大好きな人が、嫌われたく無い人が、そう言ってくれたからありのままの自分でいられた。  そのお陰で、大切な友達もできた。 「幸隆がいなかったら……僕は……今の自分じゃいられなかったよ」  だから、だからね……。 「ずっと、僕の側にいてくれてありがとう……愛してる」  答えを告げず、ずっと広い心で側にいて、隣にいてくれた幸隆。愛想を尽かすタイミングなんてたくさんあったのに、それでも一途にこんな自分を想い続けてくれた。  〝愛してる〟そんな言葉を言える時をくれた。 「っ……イル」 「ンッ……アアッ---!」  幸隆は、もう無理だ。そう小さく呟くと、イルの両太腿をガシッと掴むとそのまま強引に左右に開いた。そして、自身の身体を前のめりにして体重を掛けると、イルの柔らかいそこに切羽詰まったそれを当てがり、グッと前に腰を進めて中へと挿入した。
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