第10章 二人の熱量

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「ンッ……アッ……ぅ」  幸隆はイルの返事を待つ事なく、またイルを抱いた。  イルは与えられる快楽に何度も泣き、喘ぎ、意識を飛ばしかけ、幸隆が求め続ける時間はずっと幸隆の腕の中から離される事は無かった。  それが本当に幸せで、このままずっと……なんて思ったくらい幸せな時間だった。 「身体……大丈夫か?」  終わった後はいつもの幸隆だった。あの、ギラギラした目付きはもう無い。 「ん……ダイジョウブ……!」 「ハハッ、声ガラガラだな。喘ぎ声凄かっ……イテッ」 「……バカ」  声は自分でも驚くほど枯れていて驚いた。でも、その声さえも嫌じゃ無い。 「水持ってくる」 「ウン……」  だって、さっきまでの行為が鮮明に浮かんで来て、未だ幸隆に抱かれている感覚が蘇る。それに、身体の痛みもそうだ。幸隆が夢中になって抱いてくれた証だと思うとそれすら愛おしい。 「はい」 「アリガトウ……」  イルは幸隆から渡された水の入ったグラスを受け取ると、それをゴクッと飲み、すーっと喉を潤した。
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