第10章 二人の熱量

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 あと二回ほどグラスの水をゴクゴクッと飲むと、空になったグラスを幸隆に渡した。  それを受け取った幸隆は、そのグラスをサイドボードに置くと、履いて来たジーンズを身に付け始め、こっちにまた近寄って来た。そして、ゴロンッとイルの隣に寝転がると、ぎゅっとイルの身体を優しく抱き締め、上機嫌な顔でイルにこう聞いてくる。 「まだ時間あるみたいだけど、少し寝るか?」 「え……?」  でも、その言葉にイルは頭を横に振った。 「んー、いい。寝ない……」 「そうか……」 「うん……だって、まだこうしてたいもん」 「!」  イルはそう言うと、半裸の幸隆の身体にぴとっとくっつき、上目遣いでそう言った。 「そ、そうか……」  幸隆はそのイルの言葉が嬉しかったのか、触れた箇所から聞こえる心音が速くなっていた。  その音の大きさと速さに、イルはクスクスっと笑ってしまう。 (僕の事、本当に好きなんだな……)  普段あまり顔に表さない幸隆だから、こうやって本心を聞けるのはとても嬉しい。  それに、トクンットクンッと音を聞くと心が落ち着いて来る……だって、幸隆が〝愛してる〟と言っているように聞こえて来るのだ。
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