第10章 二人の熱量

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 もしかしたら、幸隆はずっと前からイルの言葉に一喜一憂していたのかもしれない。  昔から顔に出さない男だから分かりにくかっただけで、心臓はこんなにも大きく鳴らして平然を装っていたのかもしれない。  そう思うと、顔のニヤつきが止まらない。 「なぁ、今日もここに泊まらないか……?」  その言葉に、イルはまた笑ってしまう。だって、それはずっと頭に浮かんでいた事だったから……。 「うん……僕もそう思ってた……」 「そ、そっか。じゃ、後で手続きしとく」 「うん。ありがとう……」  眠くないかと言われたら嘘になる。身体中は気怠いし関節は少し痛い。  でも、それが幸隆から与えられた物なら、そんなのどうでも良い。今は、睡魔よりも痛みよりも幸隆の腕の中で幸隆の顔をずっと見詰めていたい。 「幸隆……」 「ん? なんだ?」 「だーい好き」 「!?」  そして、そんな狼狽える幸隆を何回も見たい。  今も、明日も明後日も---ずっとずっと……永遠に。  
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