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小鳥遊はイルが昔から服を着る事だけでは無く、生み出したいと思っている事に気付いていたようで、電話の最後に〝イルなら大丈夫だよ〟とも言ってくれた。
その言葉に励まされ、イルは更にやる気を起こしたのだった。
「そうなんだ。イル、将来は自分のブランド持ちたいって言ってたもんね」
「うん。服もそうだけど、ランジェリーとかも手掛けたいんだよね」
「ランジェリー?」
「そう。男の娘用の下着」
「!」
「それが誕生したら、マナちゃんにもくに君を悩殺するような下着贈ってあげるね」
愛永なら絶対に白くてフリフリなシルク素材の物が似合うはず。それは、前々から思っていた事だった。
けれど、そんな下着を贈ると言われた愛永は、少しだけ困った顔を浮かべながら笑っていた。
「そ、それは着るの勇気いるなー。はは……」
「大丈夫! 可愛いのデザインするから!」
そう力強く言い切ったイルの目は、たぶん自分では分からないが自信に満ちていたのだろう。愛永はそれに感化されたのか、イルの手を握り、コクッ大きく頷いてくれた。
「わっ、分かった。頑張って着る!」
そう言って、愛永は頬を染めながら友人の将来を応援する言葉を笑顔で言ってくれたのだった。
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