第2章 幼馴染と姉と僕

7/17

218人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
 幸隆のチームは後攻らしく、前半は守備をしていた。幸隆はファーストを守り、際どい球は自身で取りに行き、アウトを何度も取っていた。  そして、ルイも飛んで来たボールを両手でキャッチし、時にはファインプレーなんかもして、場を盛り上げる一人となっていた。  本当に女の子? そんな声が後方から聞こえ、イルは心の中でその人達に、はいそうです。と嬉しそうに答えそうになった。  試合は0-0が続き、あっという間に最終回になってしまった。相手チームのピッチャーは四年生で、県選抜に選ばれているほど上手いらしく、何回も三振を取っていた。  まだ二年生になったばかりの幸隆やイルは、そのピッチャーのボールに手も足も出せず、悔しそうな表情を何度も浮かべていたのが見ていて分かり、そんな姿にイルの手には汗が滲む。 「頑張れ……」  この試合に勝てば二回戦に進める。ルイにとっては初めての試合。だから、一回でも多くの公式戦の試合をして欲しい。  それをイルも見たい。 「幸隆頑張れっ」  それに、幸隆の野球してる姿をもっともっと見たい。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

218人が本棚に入れています
本棚に追加