第2章 幼馴染と姉と僕

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 イルはルイが怪我をしたと聞いて泣きそうになった。  今まで軽い怪我は何度かあったけれど、病院に連れて行くまでは無かった。  母がイルを置いて病院に向かうなんて、本当にただの突き指なのだろうか。 「泣くなよ……本当にただの突き指だって」 「だって……」 「試合がまた直ぐにあるから、早く治す為に一応病院に連れて行くだけだ。本人もヘラヘラ笑ってたし」 「本当?」 「俺が嘘付く事あったか?」  そう問われ、首を大きく横に振るイル。  幸隆が嘘を付く人間ではない事を誰よりも知っている。 「だろ? だからお前は大人しく俺と一緒に帰れば良いんだよ」  と、幸隆に言われたイルは、その言葉にまた不安そうな表情を幸隆に向けた。 「……でも僕、ここから帰る道分からない」  いつも車で送迎されているイルは、車以外の手段で帰った事はない。それに、電車やバスを友人と二人で乗った事さえも無かった。
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