218人が本棚に入れています
本棚に追加
/161ページ
中学に上がったイルは、その美貌を更に磨き、男女問わず振り返るほどの愛くるしい容姿となった。
男の姿でも同性に告白されるようになったのはつい最近。中学三年になってからの事で、今まで自分の性に対して後ろめたさがあった男の子達が、そんなのどうでも良いと開き直るようになってしまい、日々熱い視線がイルに注がれた。
でも、そうなったのには理由がある。
二個下で小鳥遊の息子、小鳥遊大樹が入学してからだ。
「せんぱーい! 今日も可愛いっすね!」
「そんなの知ってる」
「いやー。昨日の撮影した写真母さんに見せて貰ったけど、あの赤いドレスも似合ってたなー」
「……あっそ」
大樹は入学して早々にイルに付き纏い始め、イルに〝好き〟だと人目も気にせず恥ずかしげもなく言う男だった。
『好きになるのに男とか女とか、そんなの俺にはどうでも良い事だけど』
周りの人間が見詰める中、大樹はそう言って笑い、周りを驚かせた。そして、そのせいで周りも大樹に感化させられ、イルを恋愛対象として見詰めるようになったのだった。
本当、迷惑極まりない。
最初のコメントを投稿しよう!