第3章 秘める心

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 幸隆は昔同様口数は少ないけれど、イル以外の人には基本的に優しい。  イルには意地悪をしたり、生意気な事を言うけれど、心は優しい人間なのでイルが本当に嫌な事は絶対にしないし、言わない。  そう言う所がずるいなと思う時はあるけれど、そう言う所がモテる所なんだろうなとも思う。 「そんなの、先輩が……」 「僕が?」 「……言いたくない」 「なにそれ?」  大樹はそう言うと悔しそうな表情を見せる。 「大樹?」  その表情は何処か大人びていて、この間までランドセルを背負っていたとは思えないような顔だった。  それは、イルよりも身長が大きいからなのか、それとも、半分海外の血が入っているからなのか……分からない。 「あー。もうこんな時間か……。俺、今日撮影あるんだよねー。またね、先輩」  そう言ってイルに手を振り去って行く大樹。その後ろ姿にイルは小さく手を振り、バイバイと告げた。 「小鳥遊大樹か。まだ付き纏われてるのか?」 「くに君」  後ろを振り向くと、そこには昔からの友人である矢神(やがみ)邦道(くにみち)が立っていた。
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