第3章 秘める心

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 その手は優しくて、まるで恋人にするような、そんな甘い触り方だった。 「も、もし僕が……遠くの所に行くって言ったら……幸隆はどうするの?」  そんな予定は無いけれど、もし、イルがルイと同じく留学するとなったら、幸隆はどうするのだろうか。聞いてみたいと思った。 「そうだな。そうなったら、俺も同じ所に行くしかないな」 「!」 「それくらい、俺はお前に惚れてんだよ……」  言わせんな。そう言って、幸隆はまた耳を赤く染める。  そんな幸隆の恥ずかしそうな表情と言葉に、イルは嬉しそうに笑ってしまう。 「フフッ。幸隆ってほんと僕の事が好きなんだね」  そんな風に一度も思った事は無かったのに、さっき告げられた幸隆の溶けそうな甘い台詞に、イルは幸隆の想いがちゃんと伝わった。  愛してる。それが、幸隆の視線からじわじわと伝わる。  それだけで、イルは大満足だ。  でも、自分の気持ちもちゃんと伝えたい。  両想いなんて、こんな奇跡ない。
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