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その手は優しくて、まるで恋人にするような、そんな甘い触り方だった。
「も、もし僕が……遠くの所に行くって言ったら……幸隆はどうするの?」
そんな予定は無いけれど、もし、イルがルイと同じく留学するとなったら、幸隆はどうするのだろうか。聞いてみたいと思った。
「そうだな。そうなったら、俺も同じ所に行くしかないな」
「!」
「それくらい、俺はお前に惚れてんだよ……」
言わせんな。そう言って、幸隆はまた耳を赤く染める。
そんな幸隆の恥ずかしそうな表情と言葉に、イルは嬉しそうに笑ってしまう。
「フフッ。幸隆ってほんと僕の事が好きなんだね」
そんな風に一度も思った事は無かったのに、さっき告げられた幸隆の溶けそうな甘い台詞に、イルは幸隆の想いがちゃんと伝わった。
愛してる。それが、幸隆の視線からじわじわと伝わる。
それだけで、イルは大満足だ。
でも、自分の気持ちもちゃんと伝えたい。
両想いなんて、こんな奇跡ない。
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