第3章 秘める心

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 だって、そんなの最初から分かっている。  ずっとずっと、ずっと前から、幸隆の事を友人としてではなく違う好きだと自覚した時から、そんなの分かっている。 「あんたは良いかもしれない。でも、幸隆は違う。幸隆はね、絶対に周りから注目される人間になる。それをあんたはぜんぜん分かってない!」 「そんなの、分かって……」 「分かってない! もし、プロになったとして、恋人が男です。なんて周りに知られたら、幸隆は肩身の狭い人生になるんだよ! いくらあんたが女装して女に磨きかけても、男は男。本物の女じゃない!」 「っ……」  そこまで言われるなんて……イルはポロポロとその場で涙を流した。 「イルが良いなら私だって良いはずよ。幸隆はただ、男友達で一番近いのがイルってだけで、今はそれを勘違いしてるだけなんだから」  そう言って、涙を流すイルを見て勝者顔で笑うルイ。これでイルはもう幸隆に何も言わないと確信したようだ。 「それが大人になったら絶対に女である私を選ぶに決まってる。分かったなら、返事はノーか答えないままでいなさい」  ルイはそう言ってイルの肩をガシッと掴む。 「イタッ……」 「私が帰国した時に付き合ってたら、一生許さないから……」  そして、イルの細い肩をグッと力強く掴み、イルの耳元でルイはそう低い声で言った。
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