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残されたイルと幸隆。
幸隆は、キャリーケースを引きながら荷物を預ける場所へと向かっているルイの後ろ姿を、ただ、黙って見詰めていて、そんな幸隆をイルが無言で見詰めていた。
(幸隆……)
幸隆にとってルイはどんな存在なのだろうか。そんな事をふと思う。
幸隆はイルを好きだと言う。でも、それは友人としてではないのだろうか。
その気持ちの判別が未だ分かっていないから、幸隆はイルを恋愛感情がある好きだと勘違いしているのではないのだろうか。
だったら、ルイに対してだって何かしら気持ちがあるはずだ。
このまたねのキスが、その気持ちの違いに気付く良いきっかけになったかもしれない。
(そうだったら……ハッピーエンドだよね……)
そう思った瞬間。イルはクスッと笑ってしまった。
「さすがルイだねー。キスからのまたね。なんて、すごいシチュエーション。少女漫画みたい」
「おい、さっきのは……」
「ん? なに? お兄ちゃん」
「はぁ?」
イルはそう言って笑った。
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