第4章 またねのキス

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 嬉しすぎて涙が出た。それくらい、イルにとって嬉しい事だった。 (なんで……こんなキス……)  するの? そう聞きたくても幸隆が唇を離さないので聞けない。 「ん……ハァ…ハァ……」  二分、いや三分。深いキスが続いた。でも、ようやく唇が解放されたかと思ったら、幸隆がその逞しい腕でイルの身体をギュッと更に強く抱き締め、離そうとはしない。  イルは腫れぼったい唇で呼吸を整え、唾液で濡れた唇を舌で舐めた。 「好きだ……」 「っ……」 「俺は、お前が好きだ」  ストレートな告白。濁りもない、迷いもない告白。 「ルイじゃない。お前が……イルが好きだ」  幸隆らしい告白。  ほんと、なんて男らしい人間なのだろうか。諦める事すら許してはくれない。 「俺もだって……言ってくれ……」  幸隆は全て分かっている。分かっているからイルにこんなキスをしてきた。  どうしたらいい。どうしたら、この気持ちが晴れる? 「僕は……」  イルは幸隆の腕の中で考えた。考えたけれど、答えなんて出て来ない。 「幸隆には……幸せになって欲しい……」  素敵な家族。奥さんがいて子供がいて、野球をして。それが、幸隆にとって幸せな事。
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