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そこには幸隆が眠そうな顔をして立っていた。そんな幸隆に邦道が話し掛ける。
「眠そうだな」
「まぁな……」
そう言って、幸隆は欠伸をしながら空いてる席へと静かに座り、目の前に置いてあった書類を手に取った。
「呼び出しって言ってたが、告白でもされたか?」
不意に、書類を見ながらボーッとする幸隆に邦道がそう聞いていた。
その質問に、イルの身体がピタッと止まる。
それが気になっていた。
幸隆が野球部のマネージャーに呼び出しされているのをたまたま見てしまったのだ。
それを邦道達に話していて、告白かな……とイルがぼやいていたのを邦道が聞いてくれた。
「あー、まぁな……」
「!」
やっぱり……。
「さすがだな。今週に入って何人目だ?」
「さぁな、いちいち人数なんて気にしてない。つーか、俺なんかよりも邦道の方がすごい人数なんじゃないのか? 1日に何人に告白されてるんだよ」
「え!?」
「さ、俺も数えてない」
なんだこの会話は。モテる男の自慢話しにしか聞こえない。
「そ、そんなに告白されてるの……?」
そんな会話に、愛永が心配した表情を邦道に向ける。まさか自分の恋人がそんなにも告白を受けていたとは思ってもいなかったようだ。
邦道がモテる事は知っているだろうが、1日に何人と数の話しになると、現実味が増して不安が倍以上になってしまったようだった。
その気持ち、痛いほど分かる……。
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