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このままでは駄目だと思うのに、このままでいたいと思うズルイ自分。
幸隆の気持ちがずっと変わらず自分に注がれると思っているからかもしれない。
そんなの、いつ終わるかなんて分からないのに……。
「イルもこの間告られてたな。男だけど」
「え? あっ、うん。一年の特進の子にね。なんか、中学の時から好きだったんだって。でも、大樹に牽制されてて中学の時は何もできなかったらしい」
「大樹……?」
「うん、ほら小鳥遊先生の息子が後輩にいたでしょ? でも中一の冬頃に小鳥遊先生と一緒にアメリカに行ったって話したじゃん」
「あぁ、あの騒がしい男か」
「騒がしい男って……」
幸隆には大樹をそう見えていたらしい。確かに、大人しい男では無かったけれど……。
「元気そうだよ。時々メール来るんだ」
「メール? そんなの聞いてないぞ」
「え? だって、幸隆と大樹は仲良いわけじゃなかったし……」
「……そうだよな」
「?」
イルは幸隆のその言葉に、どうしたんだろうっと不思議に思った。
幸隆が大樹の事を気にしていたのだろうか。もしかして、自分が知らないだけで、いつの間にか二人は仲良くなっていたのだろうか。
いや、そんな風に感じた事は無かった。それに、二人が会話をするなんて事も無かったと思う。
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