第5章 底のない愛

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 その瞬間、ピタッと止まる幸隆の身体。  イルがしたその小さな仕草が幸隆にはちゃんと伝わったようで、幸隆はイルを見ずに前を見据え、こう告げてくれた。 「俺はお前だけだから。何があろうと……」  何があろうと---その言葉にイルは涙を流した。  幸隆にバレているのかバレていないのか分からないけれど、そんなの気にする事もできないくらいその言葉が嬉しくて、ぽろっと涙が出てしまったのだ。  幸隆はそんなイルを見る事もなく無言で隣にいてくれて、そっと優しく手を引き、またゆっくりと歩き出した。 (このままなんて駄目だ……僕は幸隆の特別になりたい……)  もっと、今よりも。  イルは前に愛永に言われた言葉を思い出し、心の中で自分にエールを贈る。  そして、幸隆に自分の正直な気持ちを伝える決意を固めた。
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