第6章 決意と阻害

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 けれど、そこには幸隆以外の人物が本当にいた。そして、その人物はイルが良く知る人物で、その人物を見たイルの身体はピタッと硬直してしまうーーーそれくらい驚いたのだ。 「な…んで……」 「幸隆ぁー! 久しぶりー! すごくカッコ良くなったねー!」  その人物とは……。 「ルイ。急に抱き付いてくるなよ。危ないだろ」  そう……昔の面影が薄くなったルイだった。 「えー、だって幸隆なら私なんか軽いでしょー? 抱き止めてくれるって分かってたから」  そう言って、ルイは嬉しそうに幸隆の首にしがみ付き、ぎゅーっと抱き付き直した。  そんなルイを見詰めながら、イルは少し震える声をどうにか抑え、話し掛けた。 「る、ルイ……おかえり」  でも、イルは未だ動揺した気持ちが落ち着かず、目の前にいるルイが本物なのかを確かめるように、二度ほど瞬きを繰り返した。 「イル、ただいまー。あんたも元気そうで良かったわ」  そんなイルに、ルイは笑みを向けながらそう言ってきた。  やはり、目の前にいるのは確かに双子のルイだった。 「る、ルイも元気そうで良かった」 「ハハッ、元気元気。風邪も一回も引かなかったし」 「それはよかったね」 「うん。でも、なん年ぶりだっけ? えーっと、私があっちに行って一年、二年……三年……まぁ、そんなのはいっか。ようやく幸隆に会えた事だし、考えるのはよそう」  ルイはそういうと幸隆の隣に座り、ピタッと肩と肩が触れる近距離に陣取った。それを見て、イルは遠慮気味にその二人の前にテーブルを挟んで座ったのだった。 「幸隆、凄く背伸びたよね。180センチくらい?」 「いや、189くらい」 「エエッ! 189センチ!? 190くらいあるって事じゃん! すごーい!」 「ルイこそ見ない間に伸びたな。170はあるんじゃないか?」 「! そ、それは触れないで……」 「何故だ?」 「だって、女の子が170センチもあるってなんか可愛くないじゃん……。それに、双子の弟よりも大きいってありえないでしょ」  そう言って、ルイは自分よりも一回り以上小さいイルを羨ましそうに見詰めて来たのだった。
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