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けれど、ペタペタと銅像にでも触るかのように触れていたルイの手が、次第にエスカレートしていき、だんだんと滑らかに摩るような手付きへと変わって行った。
その変化に気付いたのはイルだけで、触られている幸隆は別に気にしていないようだった。
「手首も太い! 太腿も私のウエストよりあるんじゃない?」
それを良い事に、ルイは触り放題。幸隆は触られ放題。
「こんな完璧な身体なら、プロでも十分通用するね」
そう言って、ルイは嬉しそうに笑った。
「つーか、ルイ知ってたんだな。俺がプロ行くの。イルから聞いたのか?」
「うん。でも、その前から聞いてたよ。中学の時に選抜で一緒だった子がいるんだけど、その子から急にメール来て、幸隆のプロ行きが決まったって聞いたんだ」
「へー」
「それ聞いて、私思わず近くにいたルームシェアのメアリーに抱き付いちゃって、泣いちゃった」
(あー、なるほど……)
その話しを聞き、イルは不思議だったのがようやく解決した。
ルイに電話で幸隆が野球選手になったよと伝えた時、もう既にルイはそれを知っていたのだ。
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