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確かにルイの言っている事は間違っていない。
昔から浅く広くしか付き合いなんて無くて、ちゃんとした友人と言えるのは幸隆と邦道だけだった。
今も、外に遊びに行く友達は愛永しかいない。でも、それでもイルは満足してる。
下心を持った相手と付き合うよりも、そんな物微塵も無い相手といる方が楽だし、警戒心を持たなくて済む。
明るいキャラとして学校ではいるが、本当のイルは人見知りで口下手。
それを良く知らない人達はイルの事を見た目だけで判断し、可愛い部分だけを見ている。
そんなの本当のイルじゃないのに……。
「アイツの人気はすごいぞ」
でも、幸隆はルイにそうハッキリと言った。その言葉に、イル自身もビックリしてしまう。
「えー、嘘ぉー」
「嘘じゃない。アイツは無意識に周りを良く見ている。そのお陰で揉め事が起きる前に阻止したり、あの裏表がない顔でその間に入って仲介してくれるから、大事になった事は一度も無い。そんなアイツに惚れない人間なんていないだろ」
「へー、でもそれって好意って事でしょ? 友達がいるとは言えないじゃ……」
「アイツと友達になりたいって思ってる奴は沢山いる。でも、それを俺が阻止してる」
「え……?」
「アイツの側にいて良いのは俺だけだから」
「!」
幸隆はそうルイに言うと立ち上がったのか、足音がこっちに近付いて来る音がした。
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