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そんな二人を見ていると、心がほわんっと癒されるのは、羨ましく思うほど二人が幸せそうだからだと思う。
愛永は邦道を心から愛し、邦道も愛永の気持ちと同じくらい愛永の事を心の底から愛している。それは、少し離れているだけでも心配になるくらいに。
「ねぇ、イル。さっきね、そこでイルに似てるような女の子いたんだけど親戚の人かな?」
「え……?」
そう言われ、もしかしてとイルは辺りを見渡す。
「あっ、いたいたー! イルぅーー!」
すると、斜め前方にルイの姿があり、たまたまこっちを振り向いた瞬間に目が合って手を振られた。
「ルイじゃないか。あいつ、戻って来てたのか?」
「うん。この間ね。今日は友人とご飯って言ってたんだけど……辞めたのかな?」
今日は友人と会うからと来れないと言っていたので、まさか、ここにルイの姿があるとは思ってもいなかった。
「良かった見付かって。こんなに人がいるなんて知らなかったから探すの大変だったよー」
ルイは大柄な男と一緒にいるようで、その男の手首を掴んでこっちへと来たのだった。
そして、その男はイルの元へと来るなり、突然、イルの小さな身体を強く抱き締めて来たのだった。
「え!? なにっ!?」
その突然の出来事にイルは驚き、男の胸板を必死に押す。ググッと力を入れて押し続けると、男がパッと離してイルから少しだけ離れてくれた。
「先輩ッ! 久しぶりですッ!」
「えっ? 誰? ごっ、ごめんっ、僕覚えてな……」
元気の良い挨拶。こんな風に元気良く挨拶する人間なんて検討もつかない。
けれど、イルの事を〝先輩〟と言うのだから、後輩である事は分かった。
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