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目を開けた瞬間、膨大な情報が頭の中に飛び込んできた。
景色は流れていた。北から南へ走るのは、空。雲。土埃の舞う荒野。
010101……。薄いフィルターの上に、いくつもの数値が重なっていく。瞬時に座標を計算する。ここはTOKIO。時刻は834:602。
私は、目覚めた。
「あれ、もう起きちゃった? 再起動かけたの、まだ三時間前だよ……」
運転席に座る男がぼそりと呟いた。
茶色のコート。タレ目に丸眼鏡。ボサボサの長髪を後ろで結んでいる。名前は、そう。マージ博士。
脈拍。発汗。瞳孔を確認。
彼は内心焦っている。だけれど見た目ではそれを隠そうとしており、無精髭を携えた口元にわざと笑みをこぼしている。
私は初めて言葉を発した。
「……不具合回避のため、通常は再起動後、半日は身体を安置しておくべきでしたね。なのに、私をこんな騒々しい車に乗せて何処へ行こうっていうんですか?」
私がそう言うと、彼はあは、と笑った。
脈拍上昇。
バックミラーを覗くと、二台のワゴンが黄砂の中、私たちを追ってきているのが見える。
「ちょっと悪い奴に追われていてね。大丈夫。家に帰るだけだよ」
「……『悪い奴』というのは貴方の方では?」
私の言葉に、博士は前方を見つめたまま小さく笑い返すだけだった。
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