01 -ゼロワン-

15/15
前へ
/15ページ
次へ
   マージ博士の誕生日はインプット済みだった。  しかし五歳児の頃の私は、お金も無く彼に何もあげることなどできなかった。しかし、今は違う。あとおおよそ五年以内に、私は研究を成功させたいと思っている。それまでは、おそらく何もあげることは叶わないが。  私は第32都市の研究所から持ってきた、アネモネの鉢植えと丸眼鏡を机の上に置いた。 「……それでは、研究の続きを始めます。マージ博士」  私はそう言うと、老人が入っていった奥の研究室へと進んだ。  
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加