01 -ゼロワン-

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   博士は私を検査ポッドに寝かせると、脳のデータを取り始めた。  私はその透明なカプセルの中で寝そべりながら、部屋を見渡す。  モニターやコンピュータがずらりと並ぶ中、場違いのように紙製のカレンダーが壁に掛けられているのが見える。上から三列目、左から二行目の今日の日付が赤く囲んである。  博士はキーボードを叩きながら、しきりにモニターを睨んでいた。 「……ううん。本当はもう一度再起動するのが手っ取り早いけど、半日も寝かせている時間無いもんなあ。致命的なバグはなさそうだし、とりあえずこのままでいいか」 「博士。あの赤いマークの意味は何でしょうか」  博士が振り向く。私はカプセルの中からカレンダーを指差した。博士はそれに気付くと、にこりと笑顔を見せる。 「君の再起動日(たんじょうび)だよ」  
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