01 -ゼロワン-

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  「誕生日……」  私は繰り返した。  その言葉とともに、履歴の中にある映像が呼び起こされる。  その映像の中で、私は笑っている。背丈は小さい。五歳といったところだろうか。黄色のワンピースを翻し、研究所の外の植物園を走り、博士の手を握って何やらおねだりをしている。  博士は感慨深い表情で私を見つめていた。 「でも正直、再起動は予定外だったけど……まあ、誕生日おめでとう。身体はどう? ちょっとエラーはあるけど、しばらく我慢できるかな」 「問題ありません」  私は頭の中の自分の映像を見ながら答えた。ざらざらとした映像が、補正により徐々に鮮明になっていく。  博士はふう、と一息つくと、私の真横に椅子を引き寄せ、今度は真剣な声色で話し出した。 「……もう察知しているようだけど、ゼロワン。君は僕が作ったアンドロイドだ。量産機はこの世に山のように存在しているが、高性能のオリジナルは君しかいない。僕は君を土台にしてここで量産型アンドロイドの研究を重ね、政府と裏で協力しながら内密に暮らしていた。が、先日君と街へ出たタイミングで、政府の奴らが君をさらった。研究所の住所すら明かさない、聞き分けのない研究者である僕を解雇し、別の研究チームで君を開発するためにね」  博士がカプセルのカバーを開ける。私は上半身を起こした。 「だから今日、僕は政府の奴らから君の身体を取り返した。残念ながら再起動済みだったけどね。……だから『悪い奴』というならあいつらの方。そのうちこの研究所の場所も見つかるだろうから、それまでに早く逃げないと」 「博士。本日が私の誕生日ということは、誕生日プレゼントが必要ですね」  私はそう言うと、博士は目を丸くした。  
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