01 -ゼロワン-

8/15

11人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
   そう言って博士は私の手を引く。だが、私は拒否しそこから動かなかった。  私は女型ではあるが、アンドロイドなので博士の力など容易に抗うことができる。 「嫌です。私はここから離れる気はありません。私が必要とするのは、この研究所、そしてプレゼントです」 「ゼロワン、お願いだ。言うことを……」  そのとき、パシュ、と小さな音がして、博士は倒れた。  私は振り返る。  そこには、先程二台のワゴンで私たちを追っていた四名の男が立っていた。  中心で銃を構えている男。黒のスーツ。煙草の匂い。頭髪が薄くなっているが、横の毛を流すことでそれを隠そうとしている。名前は、そう。サハラ。そして、ロイズ、リリアム、ダン。 「おいで、ゼロワン」  中央の男が優しげな声で言う。私は四人に近付いた。  
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加