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ゆっくりと階段を上っていく。
神社の周辺はにあまり建物が無いので、月明かりを頼りに階段を上る。
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階段を上りきると、私は引き寄せられるように桜の目の前まで歩み寄る。
桜を見上げてみると、月明かりに照らされて淡く光っていた。
幸「綺麗・・・」
静かな神社に私の声が響きわたる。
私は桜という花をあまり好きではない。
・・・だって、すぐ散ってしまうもの。
・・・とても儚くて、悲しく。
まるで・・・
サァーーー
まるで・・・誰にも気づかれなかった。
もう失ってしまった・・・
私の心のようだから・・・
サァーーー
どのくらい桜に見とれていただろうか。
日が傾き、いつの間にか辺りは薄暗くなっていた。
幸「早く帰らないと・・・
私は完璧でないといけない」
自分自身に暗示をかけるようにそう呟いた瞬間。
ーーヒラッ
桜の花びらがゆっくりと散り、風も吹いていないのに私の周りをグルグル回り始めた。
幸「なっ、何?!」
私はこの摩訶不思議な出来事についていけず、そのまま立っていることしか出来なかった。
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