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振り返るとそこには・・・浅葱色の羽織りを着た集団がいた。
その集団とはかなり距離が離れているから気づかないだろうと思っていたのに、その集団の先頭にいる人は私に気付いたようで私へと向かって駆け寄って来る。
?「すいませーん」
幸「 ( ゾクッ」
一瞬、背中に悪寒がはしる。
あいつには近付くな。
無視して逃げろ。
私の本能がそういっている。
私は駆け寄って来る人を一瞥して逆の方向に行こうとしたが、あることに気付いた。
・・・着物?・・・袴?・・・刀?
・・・まるで・・・・・昔の人のよう
不思議に思っている間にその人が私との距離を詰めてくる。
はっ!しまった!
もう逃げられないって今さら焦っても仕方ない、適当にやり過ごすか。
私は冷静さを取り戻すと、腹を括ってその人と向き合った。
あと少しでお互いの顔が見えるというところで月が雲に隠れ、辺りが暗くなる。
顔は見えないけど、もうすっかり癖になってしまった偽りの笑顔を顔に張り付けた。
幸「何ですか?」
?「こんな時間に出るなんて危険ですよ。それに・・・」
声からして男だとわかったが、顔はよく見えない。
服装は確認できるけど、まるで謀ったかのようにお互いの顔が見えないのだ。
・・・まあ、私としてはちょうどいいけど。
ふと男の声が不自然に止まったかと思えば、体へ視線を感じて思わず眉をひそめそうになるのをぐっと堪える。
嫌だなー。
こうやってじろじろ見られるの。
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