ペガサスの贈り物

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モモちゃんは怒りに震えていた。 彼女の眼前には和紙に包まれた例のブツが置かれている。 座敷が無人になるのを見計らい、踏み台を使い、神棚から持ってきたのだ。 「ほんとにヤダもん!」 彼女は愛用の真っ赤なシャベルで物証を地中深く埋めた。 「じいさん、もうダメだね」 竹春の枕元で妻の夏代は厳かに宣言した。 神棚からブツが消失したことを逸早く知った彼は、そのまま失神。 息子夫婦と妻、そしてモモちゃんに見守られ床に臥せってしまった。 「お爺ちゃあん……」 元々、お爺ちゃん子だったモモちゃんは気が動転していた。 こんなつもりではなかった。 なかったのだ……。
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