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「モモちゃん……ゴメンよ。
お爺ちゃんはただお前が喜ぶと思って。
本当は本物の綺麗な天馬を見せてやりたかったのに。
弱虫で捕まえられなくて……。
お前達にも臭い思いをさせてすまん」
竹春は家族への遺言のつもりで静に目を閉じた。
「お爺ちゃんは弱虫じゃないもん!」
「なんと!?」
叫んだのはモモちゃんだった。
彼女は5才とは思えぬ腕力で瀕死の竹春をズルズルと庭へ引きずって行く。
子供に引きずられる竹春も竹春だが
『それ行け!やれ行け!』と彼を後押しする家族もどうかと思う。
竹春は転けつまろびつボロボロになりながも孫娘の背中を頼もしく眺める。
そして自分を掴む小さな手を力強く握り返した。
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