前半と後半

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今日は娘と会ってきた。 元嫁と話の結果、 年に1度だけ会うことができる。 会った時はいつもうこうして 帰りの新幹線の中で回想するのだ。 娘は少し大きくなっていて、 買い物に行くと 「カラコン」を買ってくれ、 とせがまれた。 今は「ホワイトタイガー」 という名のブランドがどうやら 流行っているらしいのだが、 お父さんにはムリだから、 と言われてしまった。 年々ひねくれていく。 カラコンがムリはないやろ。 そのあとは寿司屋にいき昼食をとった。 まわらないほうだ。 俺、がんばってたな。 中トロ、クルマエビ、アワビ、 ヒラメにウニ、イクラ。 よく食べるガキだ。 俺は未だに小遣い制なのだぞ。 私はしめ「サバ」とカッパ巻きで。 少し二人でふらりとして、今、がその帰路だ。 あと数年で彼女も結婚するのだろう。 いつの間にか、早いな。 出席はできないけれど、 出席したいなあ。 昔はケンカをすると、 相手の帰り血で 白いシャツが赤黒くなることから 奈良の「黒ヒョウ」と呼ばれてた俺も、 今は多くの弱点ができたものだ。 俺は過去までもが妄想なのか。 ビールで熱くなった顔を冷やそうと 窓を開けた。 もう降っている雪が顔面に当たる。 すぐ窓は閉めた。 ああ、本当に、早いな。 目か ら「そのままの雪」がこぼれた。 そして、みんな集まる。
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