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「なんだなんだエジー。びびってた割にしっかり自分を売り込んでるじゃんか。かー、ずっりいな」 エジーなどと一度たりとも呼んだことないのに、即座にその場の勢いに乗れてしまうあたりが田淵らしい。 「そっちの二人はなんて名前ですかー?」 気を利かせたのだろう。ギャルが僕と田淵の方に話を振ってくる。 「どうも田淵正和です。好きなものはパプリカ。嫌いなものはピーマンです」 「えーなにそれー。どっちも一緒じゃん」 「ちっちっち。実は全然違うんだよお嬢さん。どこが違うかわかる?」 オチは"ひと味違う"とでも言うのだろうか。田淵のセンスが僕にはよく分からない。 兎にも角にも、そんな風にネタを披露する田淵の横で、僕はどんな自己紹介をしようかと思案するのだった。
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