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僕と田淵が「高粋屋」に着いたとき、江島は店の前で呑気に煙草を吹かしていた。 「おいおい、遅いぞ。もう集まってるんだぞ」 どうやら女の子たちは既に店の中にいて、江島はわざわざ僕たちを待っていたようだ。 「なんだ、向こうさんはもう来ているのか。なんで中に入らないんだ?」 「そりゃあお前、初めまして同士でそう話も膨らまんし、一対多じゃないか。俺に分が悪い」 「とかなんとか言って、要はびびって出てきちまったってわけか。そんなんじゃ何回やっても彼女なんかできないぞ」 そう言うと田淵は笑いながら江島の背中をばしばしと叩く。 恐らく田淵も同じ状況に置かれたなら同じように店先で待っていただろうに。
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