その2

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 こいつの名前は八代真夏。  利伽の弟で、神流の同級生や。  まークラスは違うみたいやけど。  利伽のとこは“うちと違って”兄弟でえらい性格が(ちゃ)う。  快活で明るい性格の利伽に比べて、真夏は引っ込み思案で臆病や。 「おはよう、真夏! ……あんた、今日も冴えてへんなー……」  そんな真夏に、神流はいつも強気な態度や。  多分、弟感覚なんやろな。  二人で行動する時はいつも神流がイニシアティブを取ってるし、真夏の性格がどこか()っとかれへんのやろな。   「お兄さんも、おはようございます……」  ノロノロと合流した俺に、真夏が挨拶をくれた。  こんだけ長い付き合いやのに、こいつは俺にいっつも敬語や。  生意気に図々しくタメ口きかれるんも腹立つけど、ここまで卑屈になられるとなんか俺が悪者(わるもん)みたいに感じてまう。   「おう、おはよう」  だけど俺も、愛想の良い方やない。  だからつい、ぶっきらぼうな返事を返してまう。  そしたら、更に真夏は恐縮する。 ―――ほんま、悪循環やで……。
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