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その3
「うぃーっす」
俺がいつものように、利伽に挨拶をした。
「……おはよう」
しかし返ってきたのは、いつもと違う元気のない挨拶。
俺のだらけきった挨拶に、いつもの利伽なら「なんやのん、朝から元気ないなー!」とか「朝一番くらい気合い入れときー!」なんて、テンションの高い言葉が飛んでくるんやけど……。
余りにもいつもと違う利伽に、俺と神流は顔を見合わせた。
「……利伽姉ちゃん、どーかしたん? 体調悪いん?」
神流が心配そうな顔で利伽に問いかける。
さっき神流にした挨拶は至って普通やったから、尚更そのギャップに不安を感じたんやろう。
「ううん、何でもないで!」
だが、神流にそう返した利伽は、本当に何でもないようやった。
―――体調はな。
俺達は長い付き合いや。
多少の事やったら、隠し事の有無ぐらい見抜けてまう。
何か、言いたくない悩みでもあるんやろか。
まー俺らの年代やったら、悩み事の一つや十個、あって当然やな。
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