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彼は亮なんかよりよほど人付き合いが上手いから、亮が心配するようなことは多分何もない。でも、年の近い子たちに囲まれている彼を想像すると、嬉しいようなさみしいような、自分でも説明の出来ない危うい気持ちになった。
呟くと裕幸は眼を丸くして亮を凝視している。
「え!?学祭に?亮さんが?」
「迷惑?」
裕幸の横に座って顔を覗き込むと、年若い恋人はとたんに目を泳がせ始めた。
「そんなことない。ないけど、亮さんがオレのギャルソン姿に興味持つなんて、ちょっと意外で」
照れているのか、純粋に驚いているのか、決めかねているような表情は可愛くもあった。
口の辺りをむずむずさせている裕幸の頭を撫でて笑いかけると、面白いように頬がほんのり赤らむ。
「そう?僕、普通に君の見た目好きだよ」
「そうなの!?うわ…オレ、産まれて初めて自分の外見に感謝したかも」
「なんでそこで驚くの。裕幸くんだって自分が外見で得してる自覚はあるでしょう?」
どう考えても裕幸はモテるだろうし、ひとの機微に聡い彼がそのことを理解していないはずがない。それなのに、どうして亮にはそれが適応されないと思い込んでいるのか、むしろそっちの方が不思議だと思う。
褒められた話ではないが、好きだと迫ってきた青年の見た目が、こうも清潔感のある好ましいものでなかったら、やっぱりもっと抵抗があったと思う。
そう認めてしまうのは、さすがにとても後ろめたいが。
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