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(亮視点)
肩を激しく揺さぶられ目が覚めた。
「亮さんっ、大丈夫ですか?」
そこは見慣れない部屋で、あぁ、そういえばホテルにまで来て裕幸とセックスをしたんだったと思い出した。ベッドサイドでは裕幸が膝をついてこちらを覗きこんでいる。
「良かった……。亮さん、何しても起きないから心配したんですよ」
心配そうな顔の裕幸の手を借りて上半身を起こす。目元にかかった前髪をかきあげてくれる指は、気を失うまでの強引さが嘘のようにやさしい。
「何したの?」
「え?」
「何しても起きなかった、って、寝てる僕に何したの?」
当然の疑問だと思うが、裕幸はそんなことを訊かれると思ってもいなかったのか、笑顔のまま固まった。
少し、不自然な間が空いてから、裕幸の口が再び動き出す。
「……髪を、洗いました。その、ちょっと汚れてたんで。抱き上げてお風呂に入れても起きない、って結構だと思いません?」
汚れた?髪が?汗をかいたからではなくて?
髪が汚れるようなことがあっただろうか。きっとあったのだろう、正直途中から記憶があやふやであまり覚えていない。
「それは……ありがとう」
「いえ……」
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