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「実は今日ね、姉ちゃんの結婚相手の人が家に来るんだって」
「ぇっ、そうなの!? じゃあ今日ってもしかして、帰んなきゃマズかったんじゃないの!?」
寝ぼけ眼を擦りながら呟いたセリフに、どうしよう、とオロオロした颯真がパンツ姿のままベッドを下りてタンスに走るのを、だいじょーぶ、とあくび混じりに止める。
「いない方がいいって姉ちゃんに言われた」
「……それ、大丈夫って言わない……」
情けない顔で振り向いた颯真がとぼとぼとベッドに戻ってきて、くしゃ、とオレの頭を撫でる。それに、大丈夫、ともう一度付け足して笑って見せた。
「……姉ちゃんとは、昨日話してきたから」
「ぇ? そうなの?」
いつのまに、と驚くのへ、ふふ、と笑って
「陽香ちゃんのお陰で、ちゃんと話せた」
「陽香の?」
キョトンとする颯真に頷いたら、だから大丈夫だよと笑う。
「陽香ちゃんにお礼言っといて。勿論、いつかまた会えたら、オレからも言うけど」
「…………会えるよ。これから先、いつでも。……それに陽香のやつ、司のことめっちゃ気に入ってたし。どうせまたイキナリ押し掛けてくるんじゃない」
投げやりに笑った颯真に、陽香ちゃんらしいね、と笑い返す。
「……それにさ。オレん家に先に挨拶に行くって手もあるから」
「はい?」
「司ん家からじゃなくて、まずはオレん家の反応見てみるって手もあるってこと」
「そうま……」
「大丈夫だよ。焦る必要も全然ない。……急がば回れって言うし、どうせこれから先ずっと一緒なんだし。……ゆっくりでいいよ。ゆっくり分かってもらえばいい」
ゆったりと笑った颯真が、わざと音を立てて額に唇を落としてくれた。
「二人一緒なんだから、いつか絶対上手くいくよ」
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