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「未空ちゃん。暑いの?じゃあ、後で雅臣に言って…」
「いいから。翔太は気にしなくて大丈夫。ね、未空。」
気を利かせて声をかけた翔太の言葉を遮るように、夏海は手を伸ばして翔太の目の前で広げると再び未空に声をかける。
まだ、少し赤い顔でうつ向いたままの未空も夏海の言葉に素直に頷いた。
そんな夏海と未空のやり取りを訝しげに見ながらも、未空の頷きに翔太もそれ以上何も言わず渋々納得の言葉を返す。
「そう?未空ちゃんが大丈夫ならいいけど…。」
そんな三人のやり取りを離れたカウンター席から遠目で見ていた友也は、いまだ少し顔をうつ向かせている未空に視線を向ける。
そして、何かを察するようにじっと未空を見つめ静かにため息を吐くと。
「…そうゆうことか…。」
一人言のように小さくそう呟き、再び前へ向き直ると雅臣のいる厨房の方を心配そうに見つめた。
「お待たせー!?」
そんな友也の視線の先でふいに、簾が揺れ笑顔の雅臣が再び顔を出した。
あまりにもタイミング良い雅臣の登場で、少し驚いたように目を開いている友也と視線が合い。雅臣は不思議そうに話しかけた。
「ん?友也どうしたの?」
「…いや。何でもない…。」
そんな雅臣から慌てて視線を反らすと、友也は何もないように淡々とした声を作り雅臣に言葉を返す。
「そう?」
それでもまだ不思議そうに首を頷けながらも、作ってきた料理が冷めないように急いで翔太達の席へ駆け寄ると、雅臣は翔太の前に持ってきた料理を置いた。
「俺特製、ふわふわオムライスお待たせしました。」
まさに出来たてのホカホカの湯気を上げながら、その名の通りの見るからにふわふわの綺麗で美味しそうなオムライスが翔太の目の前に広がった。
「やべ~!?すでに美味そう!?雅臣、やるじゃん!?」
「でしょ?」
「うんうん!…じゃ、さっそく。いっただっきまーす!?」
本当に感動しているように目を見開いてオムライスを見つめる翔太に、雅臣は自慢気に胸を張るように腰に手を置き言葉を返した。
そんな雅臣の自慢げな言葉もさらっと流すとさっそくスプーンを手に取り、翔太は出来立てのオムライスを嬉しそうに口に運んだ。
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