5人が本棚に入れています
本棚に追加
すっかり固まってしまった雅臣の目の先で、翔太は皆をまとめるように席に座らせるとメニュー表を広げ注文の品を決めていた。
そんな翔太達の高校生らしい緩やかなやり取りが行われているうちに、雅臣もようやく気持ちが落ち着くと、その中にいる楽しげな未空の姿を見つめていた。
自分に見せたことがないすっかり気を許した素の未空がいつも以上に遠く感じて少し胸を痛めながらも、そんな彼女の姿に再び雅臣の心臓が波打ち始めた。
「雅臣!注文良いかな?」
「…あ、うん!?」
ふいに、翔太にかけられた声で雅臣は慌てて未空から視線を逸らすと、赤くなっている自分の顔を隠すように少し俯きながら、翔太達の席へ急いで駆け寄った。
・
・
・
一通りの注文品が揃いすっかり準備されたのを確認すると、翔太は友人達に飲み物を渡した。そして改めるようにグラスを持ち立ち上がった。
「…それでは改めまして。入学説明会の準備お疲れ&俺の誕生日を祝って。乾杯っ!?」
『かんぱ~い!?』
翔太の声に合わせて皆も一斉に乾杯の言葉を返した。
「…ぷっ。アハハ!?我慢してたけど、やっぱムリ!?自分で自分の誕生日を祝うって…。アハハ!?」
ふいに、翔太の前に座っていた夏海が笑い出した。
「ちょっと、夏海ちゃん!?せっかくの乾杯の音頭を笑っちゃダメでしょ!?」
「わ、わかってるけど…アハハ!?ダメ、笑いが止まらない。」
未空に戒めの言葉をかけられても、すっかり笑いのツボにハマってしまったように、お腹を抱えながら夏海は余計に笑っていた。
最初のコメントを投稿しよう!