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「…あれ?翔太って、誕生日先月じゃなかったっけ?」
四人のやり取りを楽しげに見ていた雅臣は、ふと思い出したように翔太に声をかけた。
「ああ。本当は先月に皆でやるつもりだったんだけど…。入学説明会の準備のための手伝いで忙しくてさ。な、智見。」
「ああ。学校やそれぞれのクラスや部活紹介の書類作りや案内の手順の確認だとか…。やること多くて…。各クラスの学級委員長や副委員長も駆り出されてたからね。」
そう言って、お互いに会話を交わす翔太と智見の言葉から、雅臣にも二人が本当に忙しかった事が伝わって来た。
「お疲れ様。本当に大変だったんだね。」
「まあな。だから、今日はおもいきり気を抜くぞ~!?」
「アハハ。翔太らしいね。そうだ!じゃあさ、今日は一品、俺にご馳走させてよ。」
「マジで!?お前、料理出来るの?」
雅臣の口からでたおもいもよらなかった提案に、翔太は目を丸くして雅臣を見つめる。
そんな翔太の驚き声に、少し自慢気に胸を張るように雅臣も言葉を返した。
「出来るよ。俺も一応、洋食レストラン店の息子だからね。俺からの誕生日プレゼントと言うことで、ぜひ、ご馳走させてよ。」
もう一度改めて言った雅臣の心遣いに、翔太も今度は完全に嬉しそうに返事を返す。
「雅臣がそこまで言うなら。お言葉に甘えてご馳走してもらおうかな。」
「オッケ!任せてよ!?期待して待ってて。」
翔太の返事に、雅臣も改めて楽しそうに言葉を返すと、自信満々に「ニッ」と言うような笑いを残して裏の厨房へと引っ込んでいった。
雅臣の背中に手を振りながら見送り、翔太が再び皆の方へと向き直るのを確認すると、今度は智見が思い出したように皆に話しかけてきた。
「それにしても、今年ってウチの高校、なんか入学希望者多くなかった?去年の倍近くいた気がする…。」
「ああ。それはきっと“ナカシュン効果”だよ。」
不思議そうに話しかけてきた智見の言葉に、夏海は当然のことのように即答で返事を返した。
「“ナカシュン効果”?なにそれ?」
「智見くんてほんとそうゆうの疎いよね。まあ、智見くんらしいけど。」
夏海の言った言葉の意味をまったくわかっていない様子で、智見はさらに首を傾げる。そんな智見の反応に夏海は改めるように説明を始めた。
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