5人が本棚に入れています
本棚に追加
「仲本俊一。通称ナカシュン。ウチの高校一のイケメンモテ男。文武両道で、プライベートでは某有名雑誌で特集を組まれるほどの今一番話題の現役高校生モデル。
最近ではテレビCMやドラマ出演のオファーもきてたりするみたい。」
「ふ~ん。で、それと“ナカシュン効果”と何か関係あるの?」
「うん。ほら、この間修学旅行があったでしょ。その時のことなんだけど…。
ナカシュン、旅先で運悪く熱狂的なファンの女の子に気づかれちゃって。」
「ああ!俺も知ってるかも。あれでしょ?繁華街でウチの女子生徒が他校の男子生徒に絡まれているのを俊一が助けて。危うく暴力事件になり兼ねなかったって言う。」
夏海の説明に翔太も思い出したように横から口を挟んだ。
「そうそれ!あの時、繁華街だけに野次馬も多かったんだよね~。まあ、おかげで先生もすぐ駆け付けてきて大きな問題にならなくて済んだんだけどね…。」
その時の騒ぎをしみじみ思い出すように、夏海も首を頷けながら翔太に言葉を返す。
「でも、それで制服からナカシュンがウチの生徒だってことがばれちゃって。それがファンの間の情報網で拡散されて…。ナカシュンと同じ高校に通いたいという入学希望者が殺到してきたってわけ。」
「それで“ナカシュン効果”て事ね。」
夏海の説明に、智見もようやく納得がいったように言葉を返した。
「…にしても、ナカシュン。ほんとカッコいいよね~。その現場に私もいたけど、助けられた女子生徒なんて完全に目がハートになってたもん。」
「お前も、アイツのファンか?」
「違うよ。でも、そういうシチュエーションは女の子なら誰でも憧れるものなの!」
翔太の呆れたように言った言葉に、自分がファンだって事は否定しながらも、夏海は当然の事のように自信満々で翔太に言葉を返した。
「未空も、そう思うでしょ?」
「えっ!?あ、う、うん。そ…そうだね。」
ずっと黙って三人の話を聞いていた未空は、ふいにふられた話題に驚いたように慌てて返事を返す。
「ん?なんか未空。顔、赤くない?あんたまさか…。」
「えっ!?き…気のせいだよ。ほら、店の中暖房効いてるから…!?」
「ふ~ん。ま、その話はまた今度二人のときゆっくりね。ふふ。」
どこか面白そうに未空を見つめながら言ってきた夏海の言葉に、よけい赤くなった顔を隠すように未空は慌ててうつ向く。
最初のコメントを投稿しよう!