第6章

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また一人きりだ――。 理由を聞くことも後を追うこともできず 日曜の午後。 「ヨギヨ!サムゲタン ジュセヨ」 新大久保の路地裏 日本人も来ないような店で参鶏湯定食を注文する。 「マシッチ?」 「ネー」 店主のお母さんに美味しいかと聞かれたので 今まで食べた中で一番だとうろ覚えの韓国語で僕は答えた。 身体も心も 本当は食べ物なんか欲してはいない。 だけどしっかり精力をつけておかなかれば――。 「はぁ……」 また明日から始まる悪夢のような日常に カン・テヨンが生徒として現れる現実に 僕はとても太刀打ちできそうになかった。
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