第6章

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ほんの少し こちらに聞き耳を立てるような間があって。 「飲んでるんだ?」 「え……?」 非難がましい低い声が言った。 「一人で?」 「いや……」 これは何だ? 「じゃあ誰とだよ?」 まさかここに来て 怒られるとは思っていなかった僕は――。 「と、友達だよ……」 「男?女?」 「ええ?」 「男だろ」 もしかしたらこれは 純粋な嫉妬というやつじゃないのかと。 「そうだけど……いや、ただの友達だよ。学生時代のなんの取り柄もない男で……」 「おいっ!」 思った途端 まるで恋人に言い訳するようにしどろもどろ口走る。
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