第6章

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酔っていたし いいカモだと思われているのも癪で だけどそれ以上に会いたいと思っている自分が悔しくて。 「あ……」 気付けば店の客がみんな振り向くぐらいの声で怒鳴っていた。 「おい……」 罵ってくれればまだ良かった。 だけど電話の向こうは終始無言で。 「あの……」 しばらく 地獄のような沈黙を味わった後。 「え……?」 「どうした?」 「うそ」 なんの反応もないまま電話は切れた。 「黙って切ったよ……」 「は?」 「電話……切られちゃった」 ツーツーと 耳元で鳴り続ける無機質な機械音は 痛いほど胸を締め付けた。
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