第6章

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「もしかしたらさ、怒ってるのかな。『なんで電話して来るんだ』なんて、僕が試すようなこと言ったから……」 「おい」 「じゃなきゃ素直になれなくて、今頃泣いてるかもしれない」 僕は認めなかった。 「そりゃ相当な変り者なら自分で電話切っておいて泣くかもな」 マサムネはまさかという顔で溜め息を吐く。 だけど僕は――。 「どうしよう……なあ、こんな時どうすれば?」 「おい、しっかりしろよ……」 まるきり恋した事なんかないみたいに 呆れ顔の友人にすがりついた。 こうなると顔を出すのは 言われもない恐怖心で――。 このまま嫌われやしないだろうかとか。 まさか、これっきりになったらどうしようとか――。 幻聴のように僕の中で騒ぎ立てる。 そして結論を出すのだ。
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